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製作記

名古屋鉄道7000系(その5)

名古屋鉄道
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名鉄7000系

コンテンツ掲載日:2007年02月20日
最終更新日:2007年02月20日

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◆下回り、走行装置の取り付けなど

床下機器類は、金属製床板に直接取り付けるのではなく、ヒノキ材から製作した取り付け板に接着し、一種の床下ユニットの状態にしています。取り付け板の形状は、動力装置の有無により、T車とM車で大きく形状が異なっています。
金属製床板にも塗装を行い、台車と動力装置の組付けに取り掛かりました。動力装置はエンドウのMPギヤシステムを採用、パンタ付き中間車に組み込んであります。
また、屋上機器や前面スカートなど、ある程度の強度を必要とするパーツについては真鍮材を用いて製作しました。ペーパーボディーを専門とする私にとっては、電気配線を除けば、唯一半田ゴテを握る作業となっています。

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写真55

【写真55】 ヒノキ材から製作した床下機器取付板。上がM車、下がT車用。

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写真56

【写真56】 真鍮材で製作した、左から無線アンテナ台、前面スカート、パンタ台。

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◆床下機器及び室内座席の製作

またまた半月ほど作業が中断しました。妻が再び体調不良に陥ってしまったためです。時間が取れても気が気でなく、模型どころではありませんでした。結果として、体調不良の原因が「おめでた」であったことが分かり、精神的な悩みはすっかり解消しました。とはいえ、家事労働は継続せざるをえませんので、製作に費やす時間は少ないものではありました。しかし、「コツコツやっていけばいいじゃないか。」と、気持ちも新たに作業再開となりました。
ここでは細々とした部品を多数製作することになります。いちいち個数を数えて「あと何個作れば・・・」などと考えていては気が滅入るばかりですから、そのあたりは頭を空っぽにして作業にかかりきる必要があります。
私の場合、床下機器の多くは切り出した、いろいろなサイズの木材を紙で表面仕上げしながら作っています。作業性を向上させるために、材料を所定のサイズに切り出してしまう前に材料そのものを下仕上げしておきました。その後に切り出しと、紙の接着による表面仕上げを行いました。その作業の際に発生した隙間や穴は、パテを充填・乾燥させた後にきれいに仕上げておきました。
その後は、これまた細かく切り出した紙で、ディテールの仕上げに入ります。この作業も根気が要りますが、これが終わると一つ一つの部品がひとまず完成、ということになりますから、この項の冒頭で書いたような苦痛は感じません。完成した一つ一つの部品は、先ほど触れた、ヒノキ材から作った床下機器取り付け板に接着しました。なお、動力車については、MPギヤシステムを組み込む関係上、床下機器を取り付けられるスペースが非常に限られてくるので、そのあたりを考慮してパーツを作ることが必要です。
また、床下機器の「王者」たる台車については、製品そのままとするのでなく、車輪にも塗装を行いました。車輪は、レールとの踏面を除き、マッハ模型のシールプライマーを塗布した後、床下機器と同色を筆塗りしました。これによって、メッキでギラギラしたオリジナルの状態よりもグッと足元が引き締まって見えます。また、付属部品であるボルスターアンカーは、床下機器の取り付け板にしっかり固定できるように、ネジ切りをしておきました。
室内座席については、カツミのプライスを使用しました。窓枠のピッチに合わせて適宜切断したほか、M車については、モーターが室内に飛び出す分だけ切り欠いておき、板材に接着しました。また、座席は連続窓から大変よく見えるので、シートカバーの部分を塗り分けてアクセントとしました。

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写真57

【写真57】 ヒノキ材より切り出した床下機器群。

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写真58

【写真58】 完成した床下機器パーツを取付板に接着したところ。

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写真59

【写真59】 室内座席の加工。M車はモーターが床板から飛び出る分だけカットする。

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◆各種パーツの取り付け

車体の塗装が済んでからの作業は、作品が完成に近づいてくるのが工程を経るたびに現実のものとなってくるものであり、楽しくもあります。しかし、その一方でここまで仕上げてきた車体が汚れたり、破損したりしないか、パーツの紛失がないかといったことに神経を使うものでもあります。今回はお恥ずかしいことに、ベンチレイターをいざ取り付けようと思ったら、数が足らず、急きょ追加製作するというハプニングに遭っています。でき上がったベンチレイターを入れた箱を、床にばら撒いてしまったことがあるので、おそらくその際に紛失したものと思われます。(その時に個数をきちんと数えもせず、その直後にご丁寧に掃除機までかけてしまったのですから何ともなりません。)
ここの作業のハイライトは、連続窓ガラスの接着に尽きるでしょう。実物をご覧になった方ならお分かりになると思いますが、連続窓の表現では、車体と連続窓の織りなす平面的な一体感はぜひとも表現したいものです。そのため、窓ガラスは外ハメ方式を採用しています。車体の窓部分よりも幾分か小さめに切り抜いた塩ビ板(コーナーの4隅は丸ノミで丸く切り落としておきます)を用意し、カラス口で窓桟などを表現したものを強力タイプの両面テープとエポキシの併用で車体に接着しました。
さて、いよいよ工程中、最大の難関であると考えられる正面窓ガラスなどの接着に取り掛かります。ここは、いきなり窓ガラスの材料となる塩ビ板を切り抜くのではなく、現物合わせで切り出した紙を組み合わせるようにして、定規代わりになる型紙を先頭車ごとに作りました。そうして展望室部分や2階運転室の窓の展開図を求めました。今度はこれを定規代わりにして材料となる塩ビ板に寸法を写し取った後に切り出しました。コーナー部分の折り曲げは、かかる部分にカッターナイフで軽く切り込みを入れたところを折り曲げてあります。窓桟や窓の周囲は、カラス口で銀を指して表現しました。
接着については、側窓で用いた両面テープに加えて、車体と窓ガラスの隙間にエポキシを充填して固着させるという方法を取りました。場所によっては車体と窓ガラスの間に大きな隙間が生まれてしまうところがありますが、ここについてもエポキシを充填、そして、その上から車体色または窓サッシと同じ色を差すことにより、事なきを得ました。
7000系の正面を飾る方向幕(板)はデビュー当初にはなかったものですが、今となってはこれの付いた姿の方がむしろおなじみとなっています。上回りが大方でき上がり、まもなく完成を迎えるという頃に製作に取り掛かりました。細かく見ていけば、内外ともに複雑な機構・構造をもっているのですが、他のパーツと同様に、それらしく見えるよう、かつ作りやすいような形を考えながら作りました。
まず、2mmの厚さの板材を逆台形状にカットし、それに車体と同じ材料の紙から切り出した逆富士型のパーツを貼り重ねています。以降、表面仕上げから塗装仕上げに係る工程は屋上・床下機器と同様となっています。方向幕と列車種別を示すレタリングは、表計算ソフト「MS−Excel2000」を使用して製作しました。カラープリンタで出力した原稿を、透明シールの貼付によって表面保護しています。接着には窓ガラスの接着に使用したものと同じ両面テープを用いました。今回製作した7000系のプロトタイプは、製作中に全般検査があり、結果として実車はジャンパ栓を撤去、英文字入りの方向幕で出場してきました。対するモデルの方は、ジャンパ栓がしっかり付いていますが、方向幕については自分の好みにより英文字を入れておきました。このように、私は実物の細部にこだわらず、ディテールの色や細部をアレンジして楽しむことがあります。細部にこだわり、実物のそっくりさんを縮小コピーすることだけが模型作りではないと思うからです。たとえ同じ車両を目にしたとしても、作り手が変われば作風も大きく変わる・・・そんなところを純粋に楽しみたいものです

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写真60

【写真60】 展望室窓の製作。現物合わせで型紙を作り、その展開に会わせて塩ビ板を加工する。

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写真61

【写真61】 ヒノキ材と紙で、逆富士型の方向幕を製作する。

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写真62

【写真62】 完成した方向幕。

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◆仕上げ、そして完成へ

逆富士型の方向幕や貫通幌、そして連結器の取り付けが済めば、もう立派に編成を組んで走行することが可能です。一日も早くレイアウトで走らせてやりたいという抑えられない気持ちが出てきました。屋上そして床下機器の各所には、少しトーンを変えたグレーや銀を面相筆で差してやるとぐっと引き立ちます。また、先頭車のスカートのすぐ上に差し込んであるハンドスコッチは、木片に塗装をしただけの簡素なものですが、こんなパーツがさりげなく付いているだけでも、大変に引き立つものです。この作業をもって、約半年間に及ぶ7000系パノラマカーの製作は幕を下ろしました。2001年8月1日の夜のことでした。
完成した7000系トップナンバーは、以前に製作したパノラマカーや他の仲間たちとも併結が可能となっています。単独4連、時には兄貴分たちとも編成を組んで元気にレイアウト上を快走しています。

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完成した7000系(7001F)
完成した7000系(7001F)

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◆製作時間に関することなど

社会人が趣味を楽しむとなると、やはり限られた時間をいかに有効に使うかということが大きな課題になってきます。仕事人生もまだこれからが本番という私がこのようなことを書くのもおかしなものですが、人間というものは、定年退職するまでは年を追うごとに色々な場所で徐々に役割が増えていくものです。仕事場では仕事のボリュームと責任も増してきます。仕事がピークになってくれば、定時退社やら完全週休2日をいちいち要求するわけにもまいりません。さらに家に帰ってくれば、夫としての役割も待ち構えているわけであります。さすがに独身時代のように、仕事から帰ってきたら、親から呼ばれるまで製作三昧という生活は不可能です。おまけに、休日に「ちょっと出掛けてくるわ。」という一言を残して、フラフラと模型店まで出掛けるのも難しくなってきました。これで子供が生まれてくると、父親としての役割が発生するでしょうから、もっと大変なことになるでしょう。もっとも、その時はその時でしか味わえない別の楽しみもあることでしょうが・・・。
製作期間中は、当然ながら、さまざまな理由があって、何の作業もしなかったという日も相当に含まれています。それでは、一日のうち、いったいどのくらいの時間を製作にあてていたのかというと、おおむね夕食と入浴その他の家事を済ませて、就寝するまでの1〜2時間程度ということになります。日によっては30分だけ、ということもありました。これからも、大変に限られた時間ではありますが、使える時間を有効にしながら、「自分だけの作品の完成」という喜びにつなげていきたいものだと思っています。
「でき得るならば、生まれてくるであろうわが子と共に、この喜びを分かち合いたいものだ。」
そんなことも時折夢見ていますが、実際はどうなることやら見当も付きません。
さて、そうは言いながらも、次回作は何にするとしましょうか。(おわり)

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