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名鉄800型を作る(1)その2

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コンテンツ掲載日:2006年05月24日
最終更新日:2007年02月20日

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◆製作のプロセス〜(1)作品の仕様を考える

さて、いよいよ製作に入ります。
【写真1】に掲げる作例では、比較的原型に近いタイプで、モ809(ダークグリーン)が昭和40〜50年代前半、モ810(スカーレットレッド)が昭和50年代後半以降という設定で再現しています。しかし、型紙に少々手を加えることで、モデルの幅を広げることも可能です。そのあたりをパーツリストとともに最終ページに一覧にまとめてみましたので、これも参考にしてください。その上で、型紙にいきなり手をつけてしまわないで、モデルのプロトタイプとなる仕様をじっくり考えながら、ご自分こだわりの800系を再現していただきたいと思います。こういった思考の時間も、製作そのものに負けず劣らず楽しいものになるはずです。

写真1

【写真1】手前がダークグリーンで仕上げたモ809号。モ800系の比較的オリジナルに近いスタイルで、この姿での活躍期間が最も長かった。奥が晩年仕様で仕上げたモ810号。

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◆製作のプロセス〜(2)車体の下ごしらえをする

良いネーミングが思い浮かばないのですが、ペーパールーフ工法を行う上では、欠かせない工程です。型紙の側板部分だけを流用して、屋根板等を使用する場合は無視しても構いません。
型紙を見ているといきなり窓抜きに取り掛かりたくなりますが、はやる気持ちを抑えましょう。
まず、【写真2】が示すように、屋根の型にあたる部分にカッターナイフで軽くスジをつけて、その部分を曲げやすくしておきましょう。このスジ入れをどの程度(深さ)まで行うかということについては、ちょっとコツが必要です。入れたスジが浅すぎては屋根が曲げづらいし、反対に深すぎては屋根を曲げた時に素材がパックリと割れてしまいます。慣れないうちは、あらかじめ型紙の余白を利用してテストピースを作成して大体の感触をつかんでおくことをお勧めします。紙を曲げる方向ですが、スジ入れした部分が屋根の内側になるような形となります。つまり印刷面は、車体の内側になるということです。くれぐれもお間違えのないようにしてください。

写真2

【写真2】車体を切り出す前に、屋根の肩にあたる部分に軽くスジ入れをする。

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次に、【写真3】が示すように、ベンチレイターや手スリ、それにテールライトが取り付く部分等の取り付け位置が後になっても分かるように、コンパスの針などを使って小さな穴を開けておきましょう。

写真3

【写真3】手スリ等を取り付ける位置を下地仕上げの工程で見失わないよう、針等で穴を開けておく。

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ここまでが済んだら、車体の外周を切り出し、屋根の肩の部分に十分に曲げ癖を付けておきましょう。【写真4】が示すように、側板部分を定規で押さえつつ、利き手で車体を折りたたむようにしながら行います。

写真4

【写真4】窓抜きに入る前に、切り出した車体の屋根に十分な曲げぐせを付けておく。

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また、名鉄の旧型車独特の高運転台仕様とする場合は、【図1】を参考にしながら、型紙にケガキ直しをしてください。

図1
【図1】

 
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◆製作のプロセス〜(3)窓抜きと内張りにかかる

いよいよ、窓やドア部分の切り抜きに入ります。窓柱が細いので、切り過ぎないように注意しなくてはなりません。万が一、窓柱を切り落としてしまったら、瞬間接着剤などで即補修しておきましょう。
窓抜きが終わりましたら、車体の表側に来る面を#600の耐水ペーパーで空研ぎをし、ラッカーサフェーサーを薄く塗った後にさらに空研ぎをし、窓抜きを行った際にできた素材のめくれなどを消しておきましょう。その様子を【写真5・6】に示しました。なお、この工程は、車体を箱状に組み上げてからで行ってもかまいません。各自の行いやすい方法で良いと思います。

写真5

【写真5】窓抜きを終えたら、素材のめくれを撮るため、#600の耐水ペーパーで空研ぎする。

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写真6

【写真6】続いて、ラッカーサフェーサーを塗り、乾燥後に再び空研ぎする。

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次は内張りの接着です。内張りの車体裾の部分には【写真7】が示すように、多少余白を残しておき、接着後に側板に合わせてカットするときれいに仕上がります。 

写真7

【写真7】内張りを抜き終えたところ。車体の裾に当たる部分は余白を残しておき、外張りと接着してから定規でカットするときれいに仕上がる。

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内張りには、側板の補強であると同時に「乗降ドアの表面」という性格も持たせてあります。ドアの窓も型紙に印刷されていますが、接着後の位置ズレが発生する可能性がありますので、この部分の窓については、接着後に行うと良いでしょう。運転台入口扉の窓についても同様です。
内張りを貼り終えた車体は【写真8・9】のようになっています。

写真8

【写真8】内張りを張り終え、側扉の窓も抜き終えた状態。

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写真9

【写真9】内張りを張り終え、窓抜きも終えた前面部分。こちらは、ケガキの入った面をそのまま車体外側に使用した。

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◆製作のプロセス〜(4)二段窓を表現する

型紙の余白などを利用(可能であれば、もう少し薄手の紙を使用した方がより実感的に仕上がります)してピースを作り、これに二段窓を切り抜いて表現しましょう。
側板の裏面からこのピースをあてがい、実際に切り抜いた窓の寸法に従って、【図2】に示された寸法に沿ってケガキをします。なお、作例ではピースを二枚張り合わせて、より立体的な二段窓を表現してみました。この方法は、今回の作例のために初採用したもので、これまで各誌で発表されたもののなかでは比較的簡便な方法であると思います。唯一の欠点は、上段の窓の部分について幾分彫りが深くなってしまうということです。しかし、何もしないよりははるかに実感的であると思います。
もっと、簡単に済ませたいという方は、二段窓の表現をスキップし、型紙にプリントされた窓をそのまま抜いて接着するのもよいでしょう。

図2
【図2】

 
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ピースが完成したら、内張り同様に接着します。ここまでの工程を【写真10〜13】に示しました。晩年のアルミサッシ仕様を再現される場合は、ピースを銀色に塗装し、車体の塗装が済んでから接着すると面相筆による塗り分けの手間が要らない上に、大変美しく仕上がります。

写真10

【写真10】二段窓の表現(1)。作例では比較的簡易な方法で段付き窓の表現を試みた。右はベースとなるピースに窓の上段にあたる部分にのみ別ピースを接着したもの。左はそれにケガキを行った状態を示す。

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写真11

【写真11】二段窓の表現(2)。続いて窓抜きに入る。右が窓を抜き終えたピース。左は窓の下段部分と外板のスペーサーとなるピースである。両者を接着して二段窓のパーツが出来上がり。

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写真12

【写真12】二段窓を含む、側板部分の内張りがすべて貼り終わった状態を示す。

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写真13

【写真13】「写真11」で示した車体の表側はこのような感じとなる。

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