◆名鉄800型について
ここで簡単に車輌についてご紹介しておきましょう。
800系は、1935/昭和10年に現在の名古屋鉄道(以下「名鉄」と略)の前身である名岐鉄道が特急用として導入した車輌です。当時はまだマンモスターミナルである名鉄名古屋駅も開業しておらず、郊外からやってきた乗客は、名古屋市西区にあった「押切町」という駅から市内電車を乗り継いで名古屋市中心部に足を踏み入れているというものでした。
登場時は、全ての車輌が両運転台を持っていましたが、やがてモ809・810の2輌を残して片運転台に改造され、それ以外のものは付随車と共に固定編成化されました。後年、再び両運転台に戻されて改番されたり、他系列から改造・編入された仲間も在籍していました。
800系は、リベットの打たれた車体が堅牢だったことや、2扉車体とはいえ、室内がロングシートゆえにラッシュ時の輸送に向いていたことが幸いしたのか、名鉄本線系の旧型車輌としては、比較的長い期間活躍を続けることができました。最後に残された2輌(うち1輌は他系列からの編入車)が引退したのは1990年代前半のことでした。
現在では保存された車輌を、愛知県豊川市の日本車輌製造株式会社豊川工場と同県豊田市の鞍ヶ池公園において見ることができます。
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