◆実車および作品解説
かつて名鉄小牧線の上飯田駅は、名古屋市北部の玄関口にありながら、どの鉄道線とも連絡しない孤立状態のターミナルでした。そのため、小牧線を利用して名古屋の都心部までアクセスするには、ここから約1km離れた距離にある名古屋市営地下鉄の平安通駅まで徒歩またはバスによる移動を余儀なくされていました。
こうした不便を解消するために、第三セクター方式によって小牧線を平安通駅まで延伸する計画が立てられました。
第三セクターによって設立された会社は、「上飯田連絡線株式会社」。上飯田駅の一駅手前にある味鋺(あじま)駅から上飯田駅を経て平安通駅をめざす延長3.1kmのミニ路線です。それぞれわずか一区間ですが、2003年3月に味鋺−上飯田間を名鉄小牧線、上飯田−平安通間を名古屋市交通局上飯田線として相互乗り入れ運転によって営業を開始しました。
名古屋市交通局7000形電車は、上飯田線用の車輌として同年に登場しました。先述のとおり、名鉄小牧線とは相互乗り入れ運転を行うこととしているので、小牧線用として一足先に登場した名鉄300系とは共通設計となっています。
共通設計とは言うものの、車内外のあちこちに、市交車らしさがうかがえるデザインとなっています。
上回りの製作については、すでに完成させた市交3000・3050形のノウハウをそのまま活用しています。車体の帯色は、名鉄300系が名鉄のシンボルカラーであるスカーレットと地下鉄上飯田線のラインカラーであるピンクを配しているのに対して、こちらは、すべてラインカラーのピンク。市交車であることをしっかりアピール?しています。正面部分にはグラデーションがかかっており、これは製作する上でもハイライトとなりました。この作品では、パソコンで作成した原稿を、白色のシールラベルに出力、適宜カッティングしたものを貼付しています。原稿の製作に当たっては、長年のモデラーであり、かつイラストレーターでもある鬼丸博行氏のお力添えをいただきました。
屋上にも表現されたビード(ひもだし加工)は、国鉄(JR)205系で初めて目にしてびっくりしましたが、もはやステンレス車の定番のようです。7000形についても例外ではありません。これを表現するため、ICテープの消費量が結構な量になりました。
屋上機器はパンタグラフと周辺機器を除いて自作しました。
クーラーの形状は、名鉄車と同一かと思っていたらとんでもない話で、クーラーキセの断面形状や天井の排気口の形状まで全くと言っていいほど違っていました。実物を観察しながら、「共通設計のはずなのにナゼ?」と思わずにいられませんでした。
窓ガラスは、名鉄車同様、カーテンを使用しないため、濃い色が付けられています。これは外から見ると緑色をしています。模型でもこれにならって緑色の入った塩ビ板を使用しました。少し色が濃いため、インテリア装備で完成させたものの、室内の様子は目を凝らさないと分かりづらくなってしまいました。
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