日本国有鉄道クモハ52型「流電」
コンテンツ掲載日:2007年03月23日最終更新日:2007年03月23日
◆実車解説
クモハ52(登場時の形式「モハ52」)は、1936年に京阪神間の急行用に誕生した、国鉄初の流線形電車です。登場時はマルーン塗色をまとい、張り上げ屋根に加えて床下がスカートで覆われているという斬新なスタイルで、たったの1編成ながらたちまち人気者となりました。その翌年には側窓の横幅を拡大した二次型が2編成増備されました。こちらはマルーンとクリームの二色塗りとなっており、最初に登場した1編成も同色に改められています。 第二次世界大戦での被害により、1輌が失われました。戦後、生き残った5輌は阪和線を経て全車が飯田線に集められて余生を過ごしました。他の旧形国電たちがそうであるように、クモハ52も更新修繕のたびに標準化され、徐々に登場時のスタイルが失われていきました。 最晩年の同型は、いわゆる「スカ色」を身にまとってすっかり飯田線の主となって活躍していましたが、幹線を追われた80系と置き換えられる形で、1978年に全車が引退しました。
◆作品解説(一次流電・クモハ52001〜52002)
1936年に1編成のみ製造された一次流電を作品化しました。 中間に戦前生まれのサハ48-0番代を2輌組み込んだ編成としています。全車輌に狭い窓がズラリ並んでいるさまは、新幹線は別として近頃の電車ではまず見られないスタイルです。名鉄電車の大きな窓ばかり抜き慣れてしまったわが身には、時に面白く、時に大変な作業に感じられました。また、サハ48にはウィンドシール・ヘッダーのほか、車体の裾にもリベットが打たれていますので、下地仕上げを済ませた素材に点線引きを押し当ててこれを表現しました。そして表現したリベットを削ってしまわないように慎重に組み立てていきました。そういう意味においては、流線形の先頭車よりも難度が高く感じられました。 動力装置は、豊橋寄りの先頭車に組み込みました。伝導機構はLN-14モーター+MPギヤシステムとしています。これらは以降で紹介する他の編成についても同じ仕様としています。
左から順にクモハ52002、サハ48024、サハ48021、クモハ52001
クモハ52002およびクモハ52001を俯瞰する
クモハ52002およびクモハ52001の並び
クモハ52001のパンタ周りとサハ48021との連結面
MPギヤを組み込んだクモハ52001の床下機器
戦前生まれでかつて横須賀線で活躍していた32系の残党であるサハ48021
◆作品解説(ニ次流電・クモハ52003、52005)
さらにニ次流電を同時進行で作品化しました。 クモハ52003は張り上げ屋根のまま残された2輌のうちの1輌。クモハ52005は更新の際に一次流電と同様に雨どいの取り付け位置が下に降ろされています。また、奇数番号車であるにもかかわらず、辰野寄りに方転されています。 中間に組み込まれているのはいずれも戦後生まれのサハ87とサハ75-100。サハ87は同形式の栄えあるトップナンバーとなっています。サハ75-100は、元を正せば70系のサロであり、飯田線転入時にサハに格下げされ、後年さらに混雑時対応のために車体のほぼ中央に扉を増設された形となっています。
左から順にクモハ52003、サハ87001、サハ75102、クモハ52005
クモハ52003およびクモハ52005を俯瞰する
張り上げ屋根の残されたクモハ52002と雨どいが下に降ろされたクモハ52005の並び
クモハ52003のパンタ周りとサハ87001との連結面
80系サハ87のトップナンバー、サハ87001
70系サロのなれの果て、サハ75102
ニ次流電クモハ52003(左)と一次流電クモハ52002の並び
◆作品解説(ニ次流電・クモハ52004)
トリを務めるのはクモハ52004を含む編成です。 冒頭でも記したように、クモハ52は戦災によって1輌が失われています。よって「余分」となる1輌は他の形式とペアを組むのが常でした。 この編成ではクモハ54-100が豊橋寄りの先頭車を務めています。当初はクモハ54119をあてがうつもりで製作を進めてきましたが、自身の手違いに気づき、やむなくクモハ54123となりました。機会があればいずれはきちんとしたものをあてがってやりたいと考えています。 中間に挟まるのは、ニ次流電の中間車であったサロハ66を格下げ改造したサハ48034そして、サロ75改めサハ75-100となっています。編成中すべてが異形式という、いかにもローカル線区を走る旧形国電らしい組成となっています。
左から順にクモハ52004、サハ48034、サハ75106、クモハ54123
クモハ52004およびクモハ54123の並び
左からクモハ52004のパンタ周りとサハ48034との連結面
クモハ52004の床下機器
二次流電の中間車サロハ66の格下げ改造車であるサハ48034
サハ48034の床下機器
70系サロのなれの果て、サハ75106
◆追記
初めての旧形国電製作は、それこそ分からないことだらけでスタートしました。そんな手探りの状態ではありましたが、これまでのネット活動などを通じて知リ合うことのできた、多くの皆様の温かいお力添えがあり、疑問が氷解していく中で無事に完成の日を迎えられたと実感する次第です。 末筆ではありますが、そんなすばらしい同好の仲間に厚く感謝申し上げたいと思います。 ありがとうございました。
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